外資企業のITサポート
少し前になりますが、当社顧客の外資企業が別の外資企業と合併となりました。つまり外資企業同士の合併です。どちらの企業もUSが本社です。
外資企業はM&Aや部門売却などがよくあります。このお客様も3年前には、やはり外資企業の一事業を吸収し、今回は会社全体のM&Aで吸収される側です。そして、今まさにIT統合の真っ最中です。ITの統合は優先度が高く分かりやすいプロジェクトです。
当社としても外資企業のM&AのIT統合は2回目となります。3年前は言語や慣習と言った点で不慣れなことも多く、不安が多い中での対応となりましたが、今回は前回よりも多少余裕を持った対応ができそうです。
日本ではM&Aというと「救済」とか「会社がなくなる」と言ったネガティブなイメージがある印象を受けますが、外資企業のM&Aはもっとビジネスライクで、従業員の中には何度も社名が変わっている人もいます。
今回アジアを統括する拠点はシンガポールです。シンガポールはヨーロッパ大陸とアメリカ大陸の中間という地理的要素や言語(英語)、治安と言った要素が強いと思います。中国は事業規模が大きいので、どの企業も事業所は大きいと思いますが、アジアを統括するという拠点にはなりにくいようです。ただし、US本社から見たウェイトは中国の方が大きく、日本は中国の次というのが現状のようです。よって、IT関係の指示も「中国に聞いてね」ということがたまにあります(ちなみにその逆はありません)。
IT関連の仕様やポリシーなども一方がもう一方に合わせるという形になりますが、外資企業はトップダウンの傾向が強く、また日本のように根回しや周到な準備がありません(やっているのかもしれませんが)ので、印象としてはいきなり指示がくる、というイメージです。
また、時間はUS時間なので、アジアの就業時刻についてはしつこく言わないと平気で日中にサーバーメンテナンスなどということがよくあります。
また、英語での微妙な言い回しがあって、それを読みきらないと「えっ、そういうことなの!」ということが多々あります。もっとも、これは担当者の癖などもあり、わかりやすい指示をくれる人もいます。個人の資質によるところが大きいのはどこでも同じです。
昨日も16日からセキュリティポリシーが変わるというので注意をしていましたが、なんとUS時間の16日未明(日本では16日の夕方)に変更があって、今朝は大慌てでした。昨夜のうちに気が付いてなんとやらです。
このような気質というか文化がわかれば、後は技術の問題ですから、それほど気にすることはありません。外資企業のITを何社か見てきましたが、傾向は大きくは変わらないので、このようなものが目に見えないノウハウということかなと思います。
ノウハウにもいろいろな切り口があります。技術であったり、製品であったり、業界や職域であったり、地域であったりと。それぞれの切り口で見ると意外な企業や人が活躍しています。なるほどこういう切り口で特色を出し、差別化してストックビジネスとしているのだなと思うことがあります。
※本記事はメールマガジン『インスクエア ビジネスニュース』に寄稿しました。