クラウドとは何か
「クラウド」というIT用語があります。詳しい意味はわからなくても、流行りのIT用語であることはご存じの方も多いと思います。4、5年前
に「ウェブ2.0」というIT用語が流行りましたが、その後に続く流行りのIT用語です。前回、iPADを使いこなすための重要な要素は「クラウド
サービス」であると述べました。そこで、以下に「クラウド」について簡単に解説します。
「クラウド」は、「クラウド・コンピューティング」や「クラウド・サービス」とも呼ばれます。「クラウドに接続する」、「クラウドを使
う」といった表現もできますが、言葉的には「クラウド」を「インターネット」に置き換えることができます。そして、「クラウド」を「イン
ターネット」に置き換えると、それぞれは「インターネット・コンピューティング」「インターネット・サービス」「インターネットに接続す
る」「インターネットを使う」といった表現になり、より理解しやすくなると思います。つまり、「クラウド」とはインターネットを通じて提供
されるソフトウェアサービスを指します。「クラウド」は直訳すると「雲」ですが、「クラウド」が「インターネット」という言葉に置き換えら
れるように、「インターネット」を「雲」に例えて、雲の向こうにあるシステムやサービスを総称して「クラウド」と呼ばれます。
クラウドの特徴は(1)ソフトウェアのインストールが不要、(2)すぐに使える、ということが挙げられます。
クラウドの第1の特徴であるソフトウェアのインストールが不要ということについて、Googleを例にとって考えてみます。Googleメールはウェ
ブブラウザがあればメールを読んだり書いたりできますが、Windowsのメールソフトの代表であるOutlookなどは、パソコンにOutlookをインス
トールしなければ利用できません。同様に、Googleメールは携帯でも利用できますが、Outlookは携帯では利用できません。このように、クラウ
ドはインターネットに接続してウェブページ(ホームページ)が閲覧できる電子機器がありさえすれば利用可能なのです。従来はインターネット
を利用するためにWindowsパソコンが主流でしたが、今後はWindowsパソコン以外でクラウドを利用する割合が増えると思われます。そして、携帯
電話はもちろん、テレビやカーナビなど、今後登場する家電製品はクラウドの利用が可能または前提とした製品が増えると思われます。
クラウドの第2の特徴であるすぐに使えるということについてご説明します。「セールスフォース」というCRM(営業支援・顧客管理)のク
ラウド・サービスがあります。サービスを提供しているのは米国に本社がある(株)セールスフォース・ドットコム社です。セールスフォース
は、会社単位の契約で、必要な数のユーザIDを取得して利用します。申し込みをすればその日から使うことができます。基本機能の料金は1
ユーザあたり数百円~数千円です。この料金の安さは従来のCRMのイメージと比較すると驚異的です。セールスフォースが登場するまでは、企
業がCRMを導入するとなると数千万の出費は覚悟しなければならなかったからです。必然的にCRMを利用する企業はそれらを負担できる企業
でしたが、セールスフォースの登場により、小規模な企業でも高額なCRMと同じ機能が驚くほど低価格ですぐに使えるようになったのです。こ
れは、セールスフォースがクラウドによって世界規模で数多くの企業にサービスを提供していることによって実現できたことだと考えられます。
昨年参加したセミナーで聞いたところによると、昨年から導入されている「エコポイント制度」の申請システムはセールスフォースを利用して3
カ月で構築したということです。これも、一から開発する従来のシステム開発の手法では実現できなかったことだと思います。このように、シス
テムやサービスがすぐに安価に利用できることもクラウドの大きな特徴です。
クラウドを利用するにあたり注意が必要なのは、クラウドを利用した結果のデータはクラウドの向こう側に蓄積されるということです。先に述
べたGoogleやセールスフォースを例に考えてみます。Googleメールを使う場合は、メール自体はGoogleのサーバに蓄積されます。セールスフォー
スを使う場合、顧客情報や営業情報はセールスフォースのサーバに蓄積されます。これは、利用者は常にデータを持ち歩かなくてもよく、パソコ
ンの故障によるデータの損失は考えなくてもよいので、大変利便性がよいことではありますが、一方で、仕事に重要なデータを他者に預けること
になります。クラウド事業者は、機密保持に不備や不正があると事業を継続できませんから、既に実績がある場合や既知の事業者に対しては一定
の信頼を寄せることはできますが、データは他者に預けているという認識を持つことは重要です。そして、サービスがいつなくなってもいいよう
に常にデータのバックアップや代替サービスの検討に注意を払うことが重要です。
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