レンタルサーバーとDNS
以下は直近1年間で対応したインターネット関連サーバー移転の主な案件です。
・レンタルサーバーの利用プラン打ち切りによるサーバー移転
・Eコマース用のサーバーの既存ドメインでの構築
・異なるURLのウェブサイトの統合
・ウェブサイトのテスト用サーバーの構築
・グループウェアサーバーの自社ドメインでの構築
・メールセキュリティの強化(2案件)
サーバー移転というのは結果であって、要件はサービスの移転や内容変更です。その結果としてサーバーを丸ごと変更したり複数のサーバーに分散させたり、クラウドのアプリケーションサービスを利用したりと、その実現方法には様々な形態があるわけです。
サーバーの移転のお話しをすると、それほど難しい仕事ではないと思われる方が結構いらっしゃいます。特に、ウェブのご自身で運営さえている方やその知識がある方はそういう傾向にあると思われます。恐らく、ご自身で多少なりとも知識や経験があるからだと思います。
そういう方々とお話しをしていて、非常に重要な機能でほとんどの方が理解できないのがDNSです。DNSはDomain Name Systemの略です。なぜDNSが関係するかというと、ほとんどのレンタルサーバーはサーバーの利用とドメイン管理とDNSがセットになっていて、レンタルサーバーの業者を変更するということは、ほぼ、そのドメインが利用するDNSサーバーも一緒に移転しなくてはならないケースが多いからです(もちろんそうならないようにもできます)。
そのことがわからないのでずっと同じレンタルサーバーを利用しているという企業も多いと思います。そういう方は一度ご相談ください。
ウェブデザイナーや経験の浅いネットワークの技術者ではドメインやDNSの移転の方法は経験がない人も多いのではないかと想像します。
ドメイン名というのはほとんどの方がご存じだと思いますが、DNSというのは聞いたことはあっても何をしているかよくわからない方が多いと思います。そして、その制度としくみになるとほぼ専門家の世界となります。
簡単にいうと、DNSというのはそれぞれのドメインのサーバー(ホスト名)がどのIPアドレスを使っているかという、ホスト名とIPアドレスを関連付けるしくみであって、DNSサーバーというのは辞書サーバーのようなものです。DNSの技術的なしくみについてはネットにたくさん記事がありますので、興味のある方は検索してみてください。
インターネットで利用するサーバーには必ずIPアドレスが割り当てられています。ドメイン名とIPアドレスを関連付けるDNSサーバーにも当然IPアドレスが割り当てられています。
ドメイン名はレジストラや指定管理事業者と呼ばれるばれる認定された会社(以降レジストラ)がドメイン申請企業からの依頼に基づき発行します(もちろん有料)。レジストラとして有名な会社は「お名前.com」などがあります。
そして、ドメイン名と、それぞれのドメイン名が利用するDNSサーバーを関連付ける最上位のDNSサーバーがありますが、この運営はレジストラ企業が共同で行っています。レジストラは自社が発行したドメイン名に限り、そのドメイン名のDNSサーバーの登録や変更が行えます(ドメイン管理業務)。
自社ドメインのDNSサーバーなんて知らないよ、という方もおられると思いますが、レジストラはそれぞれに利用者向けのDNSサーバーを独自で運営していますので、ドメイン名だけを取得した場合や、ドメイン名取得とレンタルサーバー利用を同時に申し込んだ場合は、レジストラ独自のDNSを利用していることがほとんどです。これはほとんど意識されません。
しかし、ECや複数ドメイン利用などを効率よく運営しようとすると、ウェブやメールのサーバーとDNSサーバーが一緒では自由度がなく何かと不都合です。そこで、本格的なネットワークサービスではDNSとその他のサーバーを切り離します。レジストラが異なる複数ドメインの運用や障害対策などメリットがあります。
一方、DNSサーバーを自社で運営するというのは注意が必要です。DNSサーバーを乗っ取られるということはそのドメインで利用しているサーバーすべてを乗っ取られるようなものです。また、DNSサーバーのセキュリティが甘いと他のドメインのDNSサーバーとして機能してしまったりして迷惑をかけることになります。DNSサーバーはなるべくレジストラが提供するサーバーを利用した方がよいでしょう。
では、複数のドメインを異なるレジストラから取得している場合はどうしたらいいか。レジストラは変更が可能なのでレジストラの変更をしてなるべく一つのレジストラに集約し、DNSサーバーもそのレジストラのサーバーに集約するのがよいと思います。レジストラが提供するDNSサーバーはそれほど専門知識がなくても設定の変更ができる管理ページがありますので(その操作を覚えることは大変ですが)、サポートを受けながらであれば自主運営が可能だと思われます。
これ以上書くと訳が分からなくなるので以上です。
今日から9月で、3月決算の企業は上期の最終月です。
涼しくなり仕事もやりやすくなりましたから、集中して仕事に取り組みたいものです。
※本記事はメールマガジン『インスクエア ビジネスニュース』に寄稿しました。